夏の甲子園が始まり、大いに盛り上がっていますね。一方で、惜しくも甲子園に届かなかったチームや、甲子園で敗れたチームを応援していた人は、夏が終わった……と高校野球から離れてしまっているのではないでしょうか?
でも、せっかく夏の大会で盛り上がって興味を持ったのなら、まだ選手たちの活躍が印象に残っているこの瞬間から1年間、チームや選手の成長を追いかけてみてはいかがでしょう?
夏の大会が始まってから急に情報を集めるよりも各選手の成長、バックグラウンド等を把握していた方が、感情移入できて応援にも身が入ります。その上で贔屓のチームが勝ったら何倍も嬉しいし、負けたら何倍も悔しい!要は楽しめるということです。
まず、夏が終わった時点からの、高校野球の年間スケジュールを確認していきましょう。
U-18の国際大会
まず、夏に活躍したメンバーのその後です。
まずは2年に1度行われる、U-18のワールドカップです。
春夏の甲子園で活躍した選手や、甲子園には出られなかった注目選手などが、同じチームの仲間になって、海外の強敵と当たるという夢のような大会です。「昨日の敵は今日の友」な感じがいいんですねー。さらに、壮行試合として、大学選抜チームとの試合もあります。
U-18ワールドカップは中継があるんですね。
ちなみに昨年はネット中継がありました。特に注目度が高い場合は、地上波テレビで中継されることもあります。
(追記)
2017年の第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップはカナダで開催されますが、中継されるようです。
U18カナダでも「清宮カメラ」日本戦全戦TV中継(日刊スポーツ)
(追記おわり)
ワールドカップの無い年は、U-18のアジア大会が開催されます。ワールドカップに比べると参加校が少なくアメリカも出場しないためレベルは若干落ちますが、ドリームチームは毎年組まれるので、チェックすると面白いと思います。少し前は、衛星放送のJ-sportsで中継+オンデマンド配信ぐらいしか無かったんですが、近年はAbemaTVが日本代表の全試合を中継してくれたりします。いい世の中になったものですね。
国体
また、夏を終えて大半のチームは引退しますが、甲子園ベスト8+4校の計12校が、9月~10月にかけて行われる国体の出場権を得ます。ベスト8以外で選ばれる4校の内訳は、開催地の高校1校と、夏の大会での戦いぶりや地域のばらつきを考慮して選出する3校となります。推しのチームが国体出場権を得たら、それは秋になってもこのチームの試合が見られるということ。選手はもちろん、ファンからしたらまさにご褒美以外の何物でもありませんね。
国体は大会としてはそれほど重視されていないんですが、甲子園で真剣勝負を繰り広げたチームが、肩の力を抜いて楽しんでプレーする姿は、見ていてとても清々しいものがあります。野球を純粋に楽しんでいる感じがいいんですね。
また、ドラフト候補が最後のアピールをする場所でもあるので、結構メディアが取り上げます。中継こそ無い(追記あり)ですが、夏のお気に入りの選手のアフターストーリーが楽しめるので、ぜひ結果をチェックして欲しいところです。
(追記)
なんと!2016年の国体は、バーチャル高校野球が中継するそうです。定着して、毎年中継するようになるといいですねー!
また球児は、プロ以外にも大学野球や社会人野球など次のステージに行くわけで、その進路が続々と明らかになっていきます。すっかりファンになってしまった選手を追って、大学野球、社会人野球へと興味を広げていくのもいいでしょう。
すぐにセンバツ出場をかけた秋季大会が始まる
次に新チームのこれからです。
夏の大会で敗退すると3年生は引退。その後まもなく1、2年生で構成される新チームが誕生します。
そして、夏の甲子園が開幕する頃には、各都道府県で秋季大会の地区予選の組み合わせが決まっていきます。
この秋季大会は、翌年のセンバツ出場がかかった重要な大会です。
簡単に説明すると、(県内)地区予選→県大会→(全国各ブロックの)地区大会→神宮大会とあるわけですが、この全国各ブロックの方の地区大会での優勝校や準優勝校など、上位の成績をおさめたチームが、翌春のセンバツに出場できるわけです。ちなみに、神宮大会で優勝すると、神宮枠でのセンバツ出場になるため、そのチームが所属するブロックの出場枠が1つ増えます。この他、秋季大会でそこそこの成績を収め、かつ野球の他で褒めるべき点のある高校が選ばれる”21世紀枠”もあります。
秋季大会は試合の中継も無いし、県大会ぐらいまではよほどの強豪校か、有力選手を抱えたチームでもない限り、地元紙がスコアを伝える程度です。が、やっていることは春のセンバツの地方予選ですからね。チームからすると、夏の地方大会と同様に重要な戦いなんです。
ちなみに、夏は各都道府県で1校(東京と北海道は2校)ですが、センバツは全部で32校しか出ないので、夏以上に狭き門です。
最上級生の集大成ではないということもあって、夏ほどは盛り上がらない春のセンバツですが、”その時点での選りすぐりの精鋭たちが集う大会”と考えると、その予選を見逃す手は無いでしょう。秋からチェックすることで、夏が終わるまでに選手が、チームが、どれだけ成長するかを見ることができる。もちろん、野球の技術的なことだけでなく、精神的な面についてもです。野球選手としてだけでなく、思春期の若者が成長する姿を見られる。これも高校野球の醍醐味です。高校野球は秋から追っかけるのが一番いいわけです。
「中継が無く、報道も少ないのにどうやって試合の内容を知るんだ?」という方、各都道府県の高野連のホームページに、詳細なスコアが載ります。また、有力校に偏りますが、高校野球の専門誌や専門サイトで情報を集めることができます。
県内地区予選から神宮大会までの秋季大会は概ね9月~11月。夏の大会が終わっても、高校野球は引き続き楽しめるわけです。
さらに、この期間中にも練習試合があります。強豪校は全国どこにでも出向いて他の強豪校と練習試合をします。その様子や有力選手の活躍ぶりが一般メディアに取り上げられることもあるので、こまめにチェックするといいでしょう。
選手が密かに成長するのが冬
冬の間、12月から3月上旬までは、他校との練習試合が出来ない決まりになっています。明確な理由は知らないんですが、故障のリスクが高まるからですかね?
雪国では屋外での練習も制限されるし、前述のように故障のリスクもあるので、この時期は基礎トレーニングなどが中心になることが多いようです。
同時に、伸ばしたい能力をじっくりと伸ばす、フォームを変える、新しい変化球を覚える等々、思い切ったことをしやすいのもこの時期です。それが功を奏して大きく成長し、春以降にいきなり注目を集める選手も珍しくありません。
一方、この時期は高校野球の情報もグッと減ります。センバツ出場が確定している高校の選手が、この時期どれだけ成長するか、稀にメディアに載ることもあるので、専門誌などでチェックしながら、春のセンバツを楽しみに待ちましょう。
また中学の硬式野球で、誰が注目されているのか、どのチームがどんな実績を挙げているのか等も、専門誌などでチェックするのもいいでしょう。翌年以降活躍するかもしれない、才能ある1年生をチェックすることができます。ちなみに、専門誌や専門メディアについては、この記事の最後のほうにまとめてありますので、ぜひ御覧ください。
そうした有力選手はすでに進路が決まっている場合もあります。前年のメンバーにこの怪物1年生が加わることで、オーダーがどう変化するのか、夏の大会での期待度がどれほど高まるか、等を想像するだけで、いい酒が飲めます。このレベルまで行くと、もう一端の高校野球ファンですね。
練習試合解禁andセンバツの3月は盛りだくさん
3月は盛りだくさんです。まず練習試合が解禁されるので、昨年からの注目選手、チームがどれぐらい成長したのかといった報道の量が一気に増えます。新たに注目される選手がチラホラと出てくるのもこの時期からです。
さらに、センバツの出場校が決まり、下旬には開幕します。秋季大会をじっくりチェックし、オフシーズンもこまめにチェックしていた人なら、センバツはもう夏の選手権と同じようなテンションで観ることができるでしょう。
また、それまでテキスト情報や写真でしか見れなかったチームや選手たちの実際のプレーを観ることができるのも楽しみの1つと言えます。残念ながらセンバツ出場を逃した高校のファンにとっては、夏のライバル校たちの戦力を分析するチャンスでもあります。
春は、応援していたチームが負けると、「夏への課題」という視点で観ることができるので、夏とはまた違った趣きがありますね。
春季大会での様子を見て、夏を予想する
センバツが終わる頃になると、いよいよ新1年生が入部。進級した2、3年生の冬の成長も踏まえ、春季大会、さらにその先の夏に向けて、レギュラーやスタメンがガラッと替わったりします。
春季大会は夏のシード権をかけた戦い。そして集大成である夏の前哨戦です。そのためメディアも注目します。強豪校とはいえ試合数が多ければそれだけ疲労も溜まり、投手の人数やスタミナなどが重要になってきます。この影響による番狂わせも当然あるので、シード権は夏を戦い抜く上で意外と重みがあります。
春季大会の後、すぐに夏の地方大会がスタート
春季大会が終わると、まもなく夏の大会がスタートします。春の成績を元にシード校が決まり(シードが無いなど地域差もあり)、沖縄大会を皮切りに、全国で地方大会が開幕していきます。
と、これが高校野球のざっくりとした年間スケジュールです。ホントにざっくりし過ぎて、知っている人からすれば物足りないかもしれませんが、基本ということでご容赦下さい……。
高校野球の情報を得るためのメディアをまとめました
夏春の甲子園の時期以外はグッと一般メディアでの露出が減る高校野球。年間を通じて動向を探るには、専門誌や専門サイトを活用するのが一番の近道です。
まずは報知の『高校野球』。隔月で、kindleでも読めるのがありがたいです。
報知新聞社 報知新聞社 2015-12-28
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『野球太郎』も電子書籍で読めます。不定期刊行。
廣済堂出版 2016-06-16
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『輝け甲子園の星』は紙媒体のみ。ゆえに、内容がネットに流れにくいというメリットもあります。隔月です。
※今年(2017年)、惜しまれつつ休刊となってしまいました……
日刊スポーツ出版社 2016-06-25
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ネットメディアも侮れません。高校野球ドットコムは、速報性はもちろん、高校訪問やインタビューなどの企画記事も豊富で、情報量も充分です。選手名鑑など、情報のシーケンス性は特に優れています。
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