カブトムシの飼育、お疲れさまでした
僕は、たくさんの理由からカブトムシの飼育をオススメしていないのですが、
カブトムシの人気は高いので、今年もたくさんの方がカブトムシを捕まえ、飼育したんでしょうね。そしてちょうど今頃になると、新たに生まれてしまった卵や幼虫をどうすべきかについて考えているのではないかと思います。
飼いたくない、という人は、その成虫を捕まえた森に返してやるといいでしょう。必ず、捕まえた木の付近に返してあげてください。でないと生態系を壊すことになりかねないので。
幼虫を育てるのはあり。でも2、3匹にしておいた方がいい
成虫は論外ですが、幼虫は育ててもいいと思っています。
理由は「臭くない」「うるさくない」「手間がかからない」の3つ。
カブトムシの幼虫は、”エサ”と乾燥にだけ注意しておけば、放っておいても成虫になります。
さらに、複数匹を1つの飼育ケースに入れても、争うことなくそれぞれが成虫になってくれます。多過ぎるとダメですが。
ただ落とし穴が1つだけあって、カブトムシの幼虫は、成虫同様食いしん坊ですので、とにかくよく食べます。
ニオイはしませんが、フンも結構します。このため、エサをたくさん用意しなければなりません。ちなみに、カブトムシのエサは、発酵マット。オガクズやキノコの菌床を細かく砕いて発酵させたものです。
1匹につき3~4リットルほど食べる
成虫になるまでに食べる量ですが、個体差はあるものの、だいたい1匹3~4リットルぐらいです。
カブトムシは多産ですから、メス1匹でも、おそらく10匹以上の卵を産むと思います。それを全部成虫にしようとすると……30~40リットル必要になるわけです。
こんな発酵マットの袋が玄関にドンドン、と積まれていたら邪魔ですよね。飼育容器も結構場所を取るので、やはり2、3匹ぐらいにとどめておくのがオススメですよ、というわけです。
ちなみに、この発酵マットは腐葉土でも代用が効きますが、園芸用のものにはカブトムシがエサとしない針葉樹の葉っぱや農薬が入っていたりすることもあるらしいので、素直に飼育用のものを買った方がいいです。
値段もそれほど高くないですしね。
深さのある容器に入れたら、しばらく放置
さて、発酵マットを買ったら、次は容器です。
飼育ケースをそのまま使ってもいいんですが、幼虫がのびのびと活動できるように、ある程度の深さが必要なんですね。
一般的にはこのような容器を使うことが多いようです。
ケースは縦横に広いので、深さを確保しようとすると、マットがたくさん必要になる。あと、一般的な飼育ケースはフタの部分が網状なためマットが乾燥しやすい。
で、僕がオススメするのはこの容器です。
空の専用容器より高いんですが、それはまあ中味の酒の値段。飲み干した後の容器はゴミだから0円というわけです。この手の焼酎を飲む人にとっては、ですが。
ただまあ、4リットルをこれから買ってきて急ピッチで飲むのはシンドイでしょうから、近所ののんべえに相談するか、2リットルのお茶などのペットボトルでもいいです。
2リットルのヤツを使う場合、飼育の途中でフンを取り除き、追加で足してやる必要が出てきます。もし来年以降、子供がカブトムシを捕まえ、幼虫を育てようと意気込み始めたら、大五郎を買って、晩酌に飲んで備えておきましょう。
これをそのまま使うと土を入れられないので、上の部分をカッターないしハサミで切り取ります。平面じゃないし、意外と固いので怪我しないように気をつけましょう。
うまいこと切り離したら土と幼虫を入れて、切った部分を再びかぶせればOKです。
幼虫はフンをしに上に出てくるので、あまりギチギチに詰め過ぎないように、9分目ぐらいにしておきましょう。
1匹4リットルなので、1容器1匹が理想ですが、大五郎8リットルはキツイ、という人は、ここに全部(と言っても2、3匹ですが)入れて、足りない分のエサは後々追加するのがいいと思います。
何かで代用すること自体面倒、という人は、最初から専用の容器を買うといいと思います。大した値段ではないので。大五郎を飲みまくる必要もないのでヘルシーです。
飼育のポイント
飼育のポイントを端的に挙げていきます。
外に逃げる水分量は飼育ケースとは比較にならないくらい少ないので、加水も数回で充分です。
何週間かに1回ぐらい覗いてみて、土が乾いているな、と感じたら、上蓋を外して水を流しこむだけ。
たくさんはいりません。乾燥した表面の土が濡れる程度でいいです。土を混ぜる必要もありません。幼虫が動いてマットの湿り具合を均一にしてくれます。
幼虫はフンを地表付近でするため、上の方に集中します。
地表にあたる部分に米粒大ぐらいの焦げ茶~黒の塊がフンですから、これを大雑把に取り除き、マットを足してやれば、フンの処理とエサの補充は終了です。
飼育容器に十分なスペースがあるなら、別にフンは放っておいてもいいです。マットを加えるのに邪魔なだけで、悪さはしません。ニオイも気にならないと思います。
もっと楽な方法として、飼育容器を1つ余分に用意しておくというものがあります。そこに新しいマットを入れて幼虫を移す。これだけで終了です。
1つだけ注意して欲しいのは、最初に容器に仕込む際、幼虫と一緒に、古巣のマットも3分の1ぐらい移してやりましょう。なんでもカブトムシの幼虫は急激な環境の変化にストレスを感じるらしく、自分の住み慣れたマットも一緒に持ってきてやらないと元気が無くなるんだそうです。
補充の時期は、秋の終わりに1度と、春先に1度くらいでしょうか。冬眠の時期と、蛹になる時期を避ければ、別にいつでもいいと思います。最初から十分な量を敷き詰めている場合、この作業はしなくてもいいです。たまに水を加えてやるだけでOKです。
飼育ケースを置く場所ですが、玄関あたりがオススメです。日が当たる場所や、暖房がきいて冬でも暖かい場所、逆に屋外のような寒くなりすぎる場所は避けましょう。
野生の幼虫は外で冬を越しますが、それは地中だからです。飼育容器は側面も外の冷気に晒されるため、地中よりも温度が下がりやすいです。
そして夏が近づいてきたら、念のため昆虫ゼリーを投入しておきましょう。成虫になったのにしばらく気づかずに、ゼリーを与えるのを忘れてしまうと、いきなり餓死してしまうこともあるので。
幼虫に関しては、カブトムシのほうが観察のしがいがある
成虫なら断然コクワガタですが、幼虫に限っていえば、カブトムシの幼虫の飼育は観察のしがいがあります。
コクワガタの幼虫は朽木の中に入り込んだら最後、基本的には外には出ず、その朽木を内側から食べて成長していきます。
次に見かけるのは成虫になって朽木から出てきた後なので、普通に飼育していたら観察できないんですね。つまらないわけです。
一方カブトムシは、マットの中にいるので見ようと思えばほじくり返して見ることができる。動きまわる様子も確認できます。
またブリーディング的にはご法度ですが、子供が飼育する分には、手袋でもはめさせて触るぐらいは許容範囲でしょう。飼育している、という実感がわくのは、カブトムシの幼虫のほうなのです。
野生のカブトムシのメスは、捕まえた時点ですでに交尾を終えている場合が多いので、夏にメスを1匹だけ捕まえてきて、卵を産ませて飼育するというのはアリですね。
メス1匹でもゼリー消費量やニオイはハンパないですが。普通にうるさいし。
もっと楽したい人へ
いろいろ揃えたり、大五郎を呑んだりするのがとにかく面倒という人は、届いたその日に幼虫を入れるだけでいいタイプのマット入り容器を買うのが一番楽です。
ここに幼虫をポイするだけでOK。先ほど紹介した空の容器も合わせて買っておけば、幼虫(とマット)を移すだけでフンの除去もエサの補充もOKというわけです。
と、幼虫の世話はこんな感じですが、カブトムシの幼虫は生命力が強いので、結構雑に世話しても蛹ぐらいまでは育ってくれると思います。そこから成虫になるまでは運もありますが、基本的には子供が好奇心に負けてほじくり返したり触ったりしなければ成虫になるでしょう。失敗して死なせてしまったら、来年またやればいいだけの話です。単に子供が成虫が欲しがっているだけなら、捕まえてくればいいだけですからね。
カブトムシの捕まえ方については、こちらをどうぞ。
成虫に関していえば、コクワガタが圧倒的にオススメです。9月中ならまだ捕まえることもできます。